俺の嫁、恋探す

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俺の嫁、恋探す

翌朝俺は昨日と全く同じやりとりを済ませ、同じショッピングモールを訪れていた。 「好みのタイプとかっているの?」 お見合いの再来に聞こえなくもない台詞だが、嫁の恋人候補を探すなんて新手のSMプレイみたいなことをしていると思うと足が重くなるばかりだ。 「タイプかぁ、そういえば考えたことなかったな。」 どうやら嫁は本当に全く恋愛をしたことがないらしい。 普通これだけ整った容姿なら色恋沙汰の1つや2つあると思うが、なに?セコムでもついてた? 「とりあえず一般受けする男性を検索してみようか。」 「あ、もう調べたよー。」 画面の中で嫁が、(どこから出したかはもう聞く必要がないだろう)PCをいじくっていた。 「えーっと…簡単にまとめると、褒め上手で話し上手で気遣い上手な爽やかなイケメン。あなたと正反対だね!」 可愛い顔していい笑顔で何言ってるの俺の嫁。 最後の一言いらなくない?ねえいらないよね?ねえ!? …どうせ俺は口下手で気遣い皆無なむっさいおっさんだよ! 「そうだね!」 「なに不貞腐れてるの?」 「別に。…とりあえず一般受けするイケメンを探せばいい?」 「うん!」 けれどいくら歩いても嫁のお眼鏡にかなう男性はいなかった。 嫁曰く、雰囲気イケメンではなくどうせなら心身ともに生粋のイケメンがいいらしい。 「あのさぁ…こんなこと言いたくないけど、そんなパーフェクトヒューマンはいない。」 「え!?」 いたとしてもその男性はほぼ確実に女には困ってないだろう。 タイミング良く恋人と別れた直後だったしても幽霊と付き合いたいと思うことはまずない。 …あれ?もしかしてこのミッション、難易度カンストしてる…? 冷静に考えればいくら可愛くても嫁は幽霊だし画面から出てくることはない。 そんな既婚者と不倫したい男性がいるだろうか? いや、いない。絶対いない。 帰りたい……。
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