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古都
古都の大文字焼きを
昼間あれこれ想像して
君と炎を語り合ったね
お墓場の燐光のことまで
泊まりが許されるなら
迷わず君といた
次のバスを逃しかけて
走りたくないまま走った
別れはその日のうち
いつものこと
また来るからねと笑って
動き出した列車と共に
徐々に駆け出す君に手をふった
今はランチデートしか
そして そのあとの散歩しか
許されない二人でも
とてもとても近くに
離れていても感じていた
約束は楽しみ以外のなにでもなく
会えば 嬉しくてはしゃいだ
非日常の古都が
二人を日常から切り離していた
見せあえる顔を写しながら
互いのファイルに詰め込んだ
あのときの携帯は今でも
部屋にあるよ
真っ二つに折った携帯のなかに
二人だけが知る永遠が
二度と見ることは叶わないと
片頬で笑い 目を反らす
窓越しに追いかけてくる君に
「またすぐだよ!」
あの日も言ったのに
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