出会い

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赤は血の色、真っ赤なヒールを履いたら死ぬまで踊り続けなければいけなくなって、脱げなくて両足を切断した女の子のお話が世界の名作昔話にある。キラキラ輝くクリスタルが散りばめられた真っ赤なピンヒールをセイラは履いていた。15万円するジミーチュウのブランドで、彼氏からの初めての誕生日プレゼントだった。セイラは彼氏のためにピンヒールを履いた。たとえどんなに足が痛くてもくつづれができても、足の爪がゆがんでも皮がめくれてもそれでも彼氏からの15万円が彼女の値段だったから。一歩歩くたび胸が痛めつけられる。彼氏は今やセイラを利用しているだけだ。セイラを数百万の借金の保証人にして働かせて自分は浮気しまくって夜遊びにふけって。それでもセイラは、ジミーチュウをプレゼントされたときの感動を忘れられなかった。三年、四年たった。セイラの心は死んだ。もう二度と戻らない。
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