海を忘れて

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まさか、こんな結末になるとは思っていなかったけれど・・・ それでも、私に地上(ここ)で暮らす素晴らしさを教えてくれた人がいたから・・・ 「王子様・・・」 つぶやいた声が、波に消されてく 王子様とお別れしたのは何年(いつ)だったか・・・ きっと、最期は私を愛してくれたのでしょう・・・ だから、私は地上(ここ)にいる でも・・・ここにはもう、あなたはいない 声が出るようになっても、あなたがいなければ歌う意味もない 私はもう、完全な人間にもなれず、ただ永遠に生き続けなければならない。 気づいたら私は、真珠のような涙を流して泣いていた 「戻りたい・・・」 その声も、涙も、波はすべてを溶かした それはー・・・
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