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部活の時間が終わり、3人で楽器を片付けながら、お喋りをする。
「それにしても、茜先輩美人だよね〜。」
奈々美が言い始めた。
「うんうん。小顔だし、スタイルいいし。」
と私も同意する。
茜先輩は、私たちの憧れ。
「成績もいいらしいよ。
ご両親が先生だからかもしれないけど。」
と智恵。
「へぇ〜
コントラバスもピアノも上手くて、勉強も
できて、綺麗なんて、羨ましすぎる〜」
と私が言うと、被せるように奈々美が言った。
「その上、彼氏が奏先輩なんて、
完璧な人生だよね。」
私は奈々美の言葉になんだか引っかかりを覚えた。
「やっぱり噂は本当なの?」
「うん。私、この前、聞いちゃったもん。」
「え、何を?」
「2年の先輩が茜先輩を問い詰めてるとこ。
『高梨くんと本当に付き合ってるの?』
って。」
「で、茜先輩、なんて言ったの。」
智恵も興味津々で身を乗り出す。
「何も。ただ、『ふふっ』って笑って、
『秘密。そういうのって、他の人に
言いふらす事じゃないでしょ』って。」
「キャー!!
それって、肯定したのと一緒じゃん!」
興奮した智恵が大きな声を上げる。
「そうなんだ。
美男美女でお似合いだもんね。
趣味も合うし。
いいなぁ。」
私が言うと、智恵が突っ込む。
「何言ってるの。
美音、あんたはまず、初恋から始めなさい。
中学生にもなって、男の子を好きになった事
ないなんて、美音くらいだよ。」
「ええ!? そういうもの?
だって、よく分かんなくない?
智恵や奈々美を好きなのとは違う『好き』が
あるんだよね?
どういう時にそれに気づくの?」
すると、奈々美が笑う。
「あははっ
美音はそのままでいいよ。
美音が男子の話ばっかりし始めたら、却って
気持ち悪いし。
そのまま純真無垢なお子ちゃまでいて。」
なんだか、思いっきりバカにされた気もするけど。
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