213人が本棚に入れています
本棚に追加
アンサンブルコンテスト
1週間後、地元の音大のホールを会場にアンサンブルコンテストが行われた。
1年生がみんな緊張でガチガチになる中、私と智恵は普段通りのんびりしている。
「絶対、智恵と美音、変だよ。
なんで緊張しないの?」
と半ば責め気味に同級生に尋ねられる。
私と智恵は顔を見合わせた。
「なんで緊張するの?」
智恵が尋ねる。
「緊張するでしょ!
もうすぐ本番なんだよ。」
だから、私が答えた。
「だって、今日はソロじゃないんだよ。
友達と一緒に演奏できるんだよ。
楽しいじゃん。」
そう、私にとってアンサンブルは楽しみでしかない。
私はエレクトーンのソロコンテストに小学1年生の時から毎年出ている。
地区ファイナルのステージも合わせると10回以上、1人で戦ってきた。
それに比べてアンサンブルは、1人じゃない心強さがある。
間違えちゃいけないけど、間違えてもフォローしてくれる仲間がいる。
私はエレクトーンでも、6年生までアンサンブルコンテストに出場していた。
智恵を含めた同じグループレッスンの仲間6人とエレクトーン6台でアンサンブルをする。
すごく楽しくて、ずっと続けたかったけど、中学進学と共に、みんな個人レッスンのみに移行し、必然的にグループは解散に追い込まれた。
だから智恵とは、去年までエレクトーンアンサンブルで毎年一緒のステージに立ってたんだ。
それを思えば、アンコンなんて何でもないと思う。
最初のコメントを投稿しよう!