奏先輩

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部活動が終わり、私が楽器を片付けていると、奏先輩がやってきた。 「森宮ぁ。」 「はい!」 「これ、やる。」 奏先輩は、数枚の手書きの楽譜のコピーを差し出した。 何? 私は首を傾げながら受け取り、そこに書かれているお世辞にも上手とは言えない奏先輩の手書きのタイトルを読んだ。 「これっ!?」 「森宮、弾きたいって言ってただろ?」 「はい!! でも、いいんですか?」 私が貰った楽譜を胸に抱きしめて聞くと、 「いいよ。 でも、コンクールとかで弾く時は、ちゃんと 自分で演奏許諾、取れよ。」 と笑った。 「はい! ありがとうございます!!」 私はブンッと大きく頭を下げた。 嬉しい〜!! 「ぷっ そんなに喜ぶ事か? お前、ボール投げてもらった仔犬みたい だな。」 奏先輩はさらに笑う。 ぶぅ……… そんな言い方しなくても… 嬉しかっただけなのに。 「くくっ おもしれ〜。 今度はむくれるのか? お前、見てて飽きないなぁ。」 奏先輩は、私の頭をくしゃっと撫でて去って行く。 「ありがとうございました!」 私はまた、奏先輩の背中に向かって頭を下げた。
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