初恋ラプソディ

奏先輩

「じゃあ、智恵、また明日。バイバイ。」

私は智恵の家の前で手を振り、さらに500メートルほど先の我が家へと急ぐ。

家に帰り、手を洗うと、何よりも先にエレクトーンの前に座る。

さっき、奏先輩に貰った楽譜を並べて弾いていく。

グレード6級を持ってる私は、初めて見た楽譜でもある程度弾ける。

でも、奏先輩の楽譜は、すっごく書き込みが多くて読みづらい上に、右手も左手も装飾音符が多くて弾きづらい。

奏先輩、こんな曲を弾けるなんてすごいなぁ。

その日、私は母に叱られるまで、夢中でエレクトーンを弾き続けた。

母に叱られて夕食を食べた後は、いつものように自分の部屋で宿題をする。

ユーチューブで好きな音楽を聴きながら。

私の好きなユーチューバーは『奏者Souja』さん。

小学生の頃から、エレクトーンの演奏動画を上げてる人。

体は小さいのにほんとに小学生？って疑いたくなるくらい上手。

今ではすっかり大きくなったのが、エレクトーンとの大きさの対比ですごくよく分かる。

子供の頃から、左後ろから撮影した動画で顔が分からないようにアップされている。

今では、大きくなりすぎて、肩から下しか写ってないけど(笑)

多分、私とそんなに歳は変わらないと思うんだけどなぁ。

私は自作の再生リストから、奏者さんのクラッシック曲を再生して、英語の予習を始めた。