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「つ……めた、い。」
そう言って寝息を立て始めたのは、俺の唯一の友人であり幼なじみ、火野灯。
産まれた時から、小学生の頃まで、何をするにも一緒。
小学5年生の時に親の転勤で、転校する事になったが、ずっと忘れはしなかった。
頻繁に手紙を書いた。便箋が減るのは早かったな。
灯も俺がいなくて、寂しいはず。
そう思っていた。
いたんだ。
しかしお互い、ここまで気持ちに温度差があったなんて。
彼女からの手紙は、待ち遠しかった。
楽しみだった。
内容が、くだらなくても気にならないぐらいに。
だからか、日に日に枚数や文字数が減っている事に、気づかなかったんだ。
手紙が届くのが、遅くなって。
手紙から絵葉書に変わって。
やがて来なくなった。
挙げ句の果てに、転校して再会したというのに、俺の事を忘れていただって。
「冷たいのはどっちだ。」
気づくまで、何も言わないでやる。
自分がどんな人間か、冷たい人間か理解するまで。
その時まで、俺はお前とアイスクリームを食べるつもりだ。
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