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0.ガーデンパーティー -序章-
獅子と麒麟、争う時
白い大地は、怒りに触れ
大地、割れて朱に染まる
勇者現れ、争い鎮めると
大地は再び、白に染まる
再び争う事、無きように
両者の片目を勇者に捧げ
平和へと見守り続けた
大地駆ける王者
大空翔る王者
手と手を結ぶ時
永遠に平和は続く
きのう降っていた雨は、夜明け前には止んだ。
日が昇ると、青い空が広がり、湖はキラキラと輝いた。
雨上がりの澄んだ風が吹くと、庭園に爽やかな風が吹いた。
庭園のバラが風で揺れると、花の香りが舞い上がった。
花の香りに誘われて、花から花へとチョウやハチが飛んで来た。
小鳥の陽気な歌声が聞こえて来ると、目覚めの時を告げる。
シゥヴェリエ王国、城の一室。
天蓋つきのベッドに、子供が寝ていた。
「う~~~~ん・・・朝だ!」
子供は布団から両腕を出して体を伸ばすと、目を開けた。
そして、布団をはねのけベッドから勢いよく飛び降りると、バルコニーを目指して走り出した。
大きなガラス扉を開けてバルコニーに出ると、手摺りには一羽の白い鳩が止まっていた。鳩は子供から逃げるように、旋回して空高く飛んで行った。
子供は鳩を目で追うと、空へと顔を見上げた。
すると、空には雲のない青い空が広がっていた。
「わぁーい。やった!天気だ!!」
子供は、ぴょんぴょんと飛び跳ねて喜んだ。
クルリと向きを変え、急いでベランダから部屋へ戻ると、隣の部屋の扉を開けた。
「おはよう!!ミリー、天気だよ!」
子供は部屋の中へと入って行くと、ベッドに飛び乗り、寝ている人の頬を手でペタペタと叩いた。
「・・・・・っ?!」
ミリーと呼ばれた人は、頬を叩かれてビックリして目を開けた。
目の前には満面の笑顔ではしゃぐ、パジャマ姿の子供がいる。
まだ半分寝てぼけて、状況が呑み込めないミリーとは対照的に、金髪碧眼の子供はキラキラと輝いて眩しかった。
私の名前はエミリア・フィール、20歳。
シゥヴェリエ王国、エドワード王子専属の子守りだ。
子守として働くようになって、半年になる。
たった今、私の目の前で無邪気に笑っている子供が、エドワード王子なのである。
王子が、私のことをミリーと呼ぶようになると、城にいる人たちも同じようにミリーと呼ぶようになった。
「・・・おはようございます、エドワード王子。」
軽くため息を吐きながら、ミリーは上体を起こした。
寝不足のためか、軽くめまいがして、右手を額に当てた。
「晴れたよ!!早く外へ行こう!」
王子は私の腕を掴んで引っ張って、外へ行こうとしている。
「きのうは遅くまで起きていたのに、もう起きたのですか?」
ミリーが 壁時計を見ると、時計の針は午前5時を指していた。
「エドワード王子、まだ5時ですが・・・」
「お天気になったから、パーティーあるでしょ?」
雨は止んだらしく、窓の外は明るかった。
「雨は上がって、晴れたのですね」
「うん!」
王子は元気に返事をした。
今日は、お城の庭園でガーデンパーティーが開催される。
庭園でのパーティーなので、王子も出席しても良いと言われたのだ。
王子はパーティーに出られると喜んで、昨夜は遅くまで興奮して起きていたのだった。
「エドワード王子。パーティーが始まるのは11時です。その前に着替えて、朝食を食べてくださいね」
「やだ!今、外に行きたいの!」
元気なのは良いのだけれど、わがままを通すことは出来ないと思った。
「いいですか、私は今から着替えます。自分の部屋に行って待っていて下さいませんか?」
「・・・うん、わかった」
寝不足でイライラしてしまい、少々強い口調なってしまったが、素直に部屋から出て行く王子を見届けると、ミリーはベッドから出て素早く着替えた。
両手で頬をパンパンと叩いて気合いを入れるが、少し気を抜くと、あくびが出そうになる。
熱いコーヒーを飲んで目を覚まそう。
今日は長い一日になりそうだと、ミリーは思った。
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