雨宿りびより

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衣緒は洗面所に入ると背負っていたリュックをおろし濡れた服を脱いだ。 スモーキーブルーのキャミソールワンピースはフレアなシルエットになっていてウエストに紐がついている。ちょうど膝が全部出るくらいの丈だ。ボトムは黒い細身のクロップドパンツ。ワンピースの下には白いシンプルなTシャツを着ていた。袖は気になる二の腕が隠れる長さだ。 パンプス用の靴下は脱いでビニール袋に入れ、リュックにしまった。最近雨が多いので幸い替えの靴下を持って来ていた。 夏で良かったと思った。デオドラントシートもポーチに入っていたのだ。シートで体を拭くとさっぱりした。ゴミ箱が置いてあったがここにシートを捨てるのは忍びなく、これもビニール袋にしまった。 ポーチから携帯用のブラシを出し、ドライヤーはここかなと洗面台の鏡を遠慮がちに開けると、おしゃれな細長い形状のドライヤーが入っていたのでそれを借りて髪を乾かした。 ドライヤーを戻す時に置いてあるブラシを見ると、豚の毛とかなのだろうか、髪に良さそうなブラシだった。 そして用意してもらった服に緊張しながら手を伸ばす。服にメイクがつかないよう髪の毛を顔にかけ、フェイスカバーがわりにした。 心地良い素材のライトグレーのTシャツとブラックのハーフパンツ。Tシャツの胸ポケットとパンツのサイドについたラインは同じ柄で、ネイビーにオフホワイトで星座が描かれていた。 濡れた割にメイクは思ったより崩れていなかった。崩れたところをティッシュオフしてから塗り直した。 ───これで大丈夫かな・・・?
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