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「!?!?!?!?!?」
衣緒は『これ以上は驚けません』という表情になり固まった。
「駅まで送っていってもいいけど、明日仕事休みだし、どうしても今日帰らなくちゃいけない理由がないんだったら、電車何時に動くかもわからないのに、無理して帰ろうとすることないよ。動いても激混みでいつ乗れるかわからないだろ。乗れてもぎゅうぎゅうで、なかなか進まなかったりするだろうし。」
「あ、えっと、でも・・・。」
「二部屋あるし。気遣わなくていいよ・・・無理かもしれないけど・・・。」
「あの、大丈夫です、本当に・・・。」
おろおろとする衣緒に鈴太郎は強い口調で言う。
「だから、こんな中帰したら心配なんだって。」
「・・・。」
その言葉に彼女は怯んだようだが頷く様子はない。
「・・・わかった。じゃあ、ここで朝までミーティングするから帰るなよ。業務命令。」
気がつけば口からそんな言葉が飛び出していて、今日はこんなことばかりだ・・・と鈴太郎は思った。
───ああ、たった今、俺の辞書の中から『コンプライアンス』という単語が消滅した。
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