雨宿りびより

22/45
前へ
/252ページ
次へ
「!?!?!?・・・」 ───いつも的確なことを言う葉吉さんが、そんなめちゃくちゃなこと言ってまで心配してくれるんだ。なんて部下想いなんだろう。それか、私が大人として頼りない感じだからか・・・。 「な?」 彼女を見つめる目に力を込めて念を押す。 ───ひどいな、俺。必死過ぎて自分に引く。もっと気の利いた言い方なかったのか・・・。でもこうでもしないと彼女は聞いてくれなさそうだ。 「・・・えっと、あの・・・その、で、では、お言葉に甘えて・・・。」 衣緒は俯き、消え入りそうな声でなんとか言葉を絞り出した。 ───もう、出来るだけ何も考えずにいるしかない。 「よかった。じゃあ、新商品開発の為、前のカタログとか雑誌も見てみよう。出してくるから待ってて。」 鈴太郎はホッとして立ち上がった。 それから二人はカタログや雑誌を見ながら、新商品を考えた。 もちろん実際に仕事のミーティングをしているわけではなかったので、カタログで雑貨を見てあれこれ話すのは楽しかったものの、段々眠くなり二人とも口数が減ってきた。 「・・・眠いな。」 「・・・はい。」 時計を見ると2時過ぎだった。 「寝るか。」
/252ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2010人が本棚に入れています
本棚に追加