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「ごめん、俺ももっと彩木さんの仕事調整するとかすれば良かった。大変そうなのわかってたのに放置して。」
───俺、何やってるんだ・・・。泣かすつもりじゃ・・・。嫌われたらどうするんだよ。
「それは、私が、大丈夫、って言ったから、です・・・・。」
───私、何やってるの・・・。いい歳して上司の前で泣くとか・・・仕事のことで泣くとか、情けなさ過ぎる。葉吉さん、絶対引いてるよ。せっかく楽しかったのに、嫌われちゃうかも・・・。でも、嬉しい。私のこと見ててくれたこと・・・。気持ちが温かい・・・。
鈴太郎は今日彼女といるうちに彼女との間にあった、他の人との間にもある透明な壁みたいなものが、少しずつ薄くなるのを感じていた。それがここに来て完全になくなったような気がした。
しかし心がむき出しのままの状態になった彼女を前に喜びと共に戸惑いもあった。
───どうやって接したらいいんだろう・・・。
壁はあった方が楽だったのかもしれない。今はすぐに傷付けてしまいそうで怖かった。
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