雨宿りびより

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「そうなんですか?」 「スマホに通知来た。検索サイトのトップにも出てたな。朝もテレビで言ってた。交通機関に影響が出ると予想される、とかって。」 「うちテレビなくて、あとガラケーなので・・・。携帯で朝お天気サイトは見てて、今日雨100%降るのは知ってたんですけど・・・こんなにひどいなんて。」 「・・・なんでテレビ持ってないの?」 「買うことを思いつかなかったんです。一人暮らし始める時に電器屋さんに行って、冷蔵庫、電子レンジ、掃除機、アイロンとかは買ったのですが。人と話していてテレビの話になってそういえば私持ってないけど、特になくていいかなって。テレビが嫌いとかではないんですけど。」 ───彩木さんらしい。 鈴太郎は顔には出さなかったものの、そんな話を聞けたことを嬉しく感じた。 「駅前のハンバーガー屋さんとかで時間つぶすしかないですね。」 「駅前のバーガー屋とかカフェとか満喫とか、全部行列でカオスらしい。真中(まなか)が言ってた。皆考えることは同じだな。」 「・・・そうですか。じゃあ、会社に戻るしかないかもしれないですね・・・。」 「俺が最後で鍵閉めたよ。彩木さん契約社員だから鍵開け閉めできないし、一人会社にいさせられないから。」 淡々とした口調だったが、決して冷たい感じではなく、むしろ優しさが感じられた。これがいつもの彼の話し方だった。 「あの、今ってどこに向かっているんでしょう・・・。」 ───どこかに向かっている感じなんだけど・・・。 考えても答えが見つからず聞いてみた。 「俺の家。」 彼は淡々とした口調のまま、至極当たり前のように答えた。
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