お祭りびより

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「はは、来ちゃいました。」 彼は極上のスマイルを見せながら声を潜めて言う。 「・・・。」 「なかなかいいですね、ここ。実は初めて来たんです。」 そう言って周りを見渡す。 「ステンドグラス、素敵ですよね。」 衣緒は突然の彼の登場に驚きつつ返す。 いかにも歴史がありそうな木造の建物は天井が高く、(おごそ)かな雰囲気があった。 「彩木さんて身長何cmですか?」 新貝は色とりどりのステンドグラスを少しの間見上げてから彼女に目線を落とすと唐突に質問をする。 「?154cmですけど・・・。」 「俺は170cmです。男女の理想の身長差って15cmなんですよ。いい感じじゃないですか?」 「・・・。」 「・・・。」 返答に困る衣緒に続き新貝も無言になる。衣緒は彼がさらに目線を斜め下にして一点──彼女の体───を見ているのに気付き、その目線を追うと、先程本をとろうとして背伸びをした時にカーディガンがずれて、ノースリーブのトップスから上腕が(あらわ)になっていた。 彼が見つめる自分の上腕から目線を辿ると目が合った。 「あっ・・・肌がきれいだなと思って。」 新貝は少し慌てて照れた様子で言う。 「・・・二の腕、ぷよぷよですよ・・・。」 そう言ってカーディガンを戻す。 「そういうこと言われると触りたくなりますけど。」 彼はニッと笑いながら余裕のある表情に戻った。 「・・・。」 また返答に困っていると彼は衣緒の後頭部に手を伸ばした。
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