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カフェまでは電車で向かうため駅に向かって歩く。
途中神社の近くを通ると明かりが灯った提灯が並んでいた。
「あ、お祭り、今日だったんだ・・・。」
衣緒は思わず声に出した。
「行ったことある?」
「はい。ここで働き始めてからは毎年行ってます。」
「・・・俺も。」
鈴太郎は目を伏せて恥ずかしそうに言う。
「えっ、お会いしたことないですね。一日しかないお祭りだから、同じ日に行ってるのに。」
「時間がずれたりしてたのかもな。時間被ってたとしても混んでるし。」
「そうですよね。でも、なんか嬉しいです。・・・あっ、えーと・・・。」
気持ちがゴムボールのように弾んで心から飛び出し、声になって出てしまったので焦った。そんな彼女を見て鈴太郎は柔らかく微笑んだ。
「・・・カフェに行く前に寄ってみる?」
「はい!」
衣緒は嬉しくて元気良く返事をした。
「・・・。」
───普段表情に乏しい彼女の満面の笑顔、破壊力抜群だな・・・。
鈴太郎は彼女の弾けるような笑顔を眩しい想いで見ていた。
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