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修正ver.
テニスンは優れた狩人だ。
ここしばらく、風笛を追い求めている。風笛とは一羽の美しい鳥のことだ。
自由で優美な名を持つそれは、森のような深緑色と白い羽毛に長い飾り尾羽を生やした人間程もある大きな鳥で、この森の護り神であった。
長らく伝説として語り継がれており、この辺りの村でその名を知らぬ者はいない。テニスンも幼い頃から聞き知ってはいたが、実際に目にするまでは単なる寝物語だと思っていた。
だがある時、その荘厳な姿を一目見た時からテニスンは風笛の虜となったのだ。
まるで何かに取り憑かれでもしたかのように、何がなんでも風笛を捕らえなければならないと考えた。
テニスンは狩人としては細身で、齢は二十歳を過ぎていたが顔には少年の面影が色濃く残っている。
剛腕もなければ魔術も使えぬつまらぬ狩人だが、人より遥かにすばしこかった。普通の狩人は犬を使うが、テニスンは犬より速く長時間走ることが出来た。
また、目が良かったのだ。生まれた時から森で育ったため生物の気配を読むことに長けており、優れた目と脚、そして経験が彼の最大の武器だった。
都では火薬を使った銃という武器や魔術師の作った便利な道具が売られているが、山深くに住む彼は未だに弓と矢を使った伝統的な狩りを行い、この若さで当代随一と呼ばれていた。
テニスンは今日も森の奥深くへと進む。人の手が全くない草と樹が思うままに生える荒々しい獣道を注意深く歩きながら、常に耳と目に気を配って辺りを窺っていた。
テニスンの耳に入るのは、自分が草を掻き分ける音、土を踏む音、虫の羽音、そして……
不意にテニスンは走り出し、走りながら矢を番える。だが、目的の物は遥か遠くにその後ろ姿を見せるのみであった。
(また逃がしたか……)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ね? 全然違うでしょう?!
ページ構成はかなり大事なので次回も続きます〜。
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