ねえ、こっちを向いて

3/6
前へ
/6ページ
次へ
 その日のよる。  はるこは、ベビーベッドの中でスヤスヤねむっていました。はるこをねかせるのに、ママはとてもたいへんそうでした。ようやくはるこをねかせると、ママはためいきをついてへやを出ていきました。  かわいそうなママ。とてもつかれています。目の下が黒くなってきているのを、ぼくは知っています。  はるこが言うことを聞かないで泣いたりしてなかなかねないから、ママはつかれているんだ。ぼくはもうそんなことしないよ。えらいでしょ? それなのに……どうしてママやパパはぼくのことを見てくれないの?  あ、そうだ。ぼくは思いつきました。  なにかママのよろこぶことをしてあげよう。なにをしてあげたら、ママはよろこぶかな? ぼくは、ママに聞きにいくことにしました。  リビングにいくと、ママはパパと向かいあってすわっていて、ママは頭をかかえていました。パパもしんぱいそうな顔をしていて、ぼくは声をかけられませんでした。ただそこに立って、ママとパパを見ていました。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加