渇水

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しばらく待たされたが、 隔離のドアが開き、 主治医と大人数の看護師が わらわらと入ってきた。 モップで床がふかれていき、 便器の中からからジャージが見つかった。 「呼んだら来るって言ったのに来ないじゃないですか!」 「5分に1回なんて来られないんだよ」 「それはわかりますけど私は多飲多尿なんですよ」 短い口論は終わり、 ニトロはぬるま湯の入った水差しを 担当の看護師からもらった。 最後まで室内に残っていた主治医に 「申し訳ありませんでした」 とニトロは土下座した。 再び病室のドアがガチャリと締まり ニトロは ベッドの上で、からからになっていた喉を 貴重な水分で潤した。
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