貴方だけは、

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殺虫剤と、新聞紙で! その黒い物体を、恐る恐る新聞紙の上に載せ、窓辺に急ぐ。 「さようなら! もう…貴方とは、会うことはないわ!ゴキ……」 名前も出したくなくて、私は窓を勢いよく開けると、何の躊躇いもなく外へ貴方を放り出した。 黒い残骸は、今思い出しても震えてしまうほど…あぁ、なんて気味が悪いの。 「やっぱり嫌いだわ…。 貴方だけは好きになれないわ…。」 そんな事をぶつぶつ呟きながら、ひとり夕食を作る、平凡な私の日常の、ある事件でした。
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