私の命を。

2/4
前へ
/8ページ
次へ
 それから三日後、ついに一人暮らしが始まる。すべての荷物を運び終えた頃には日が傾いていた。 「ふう、やっと終わった。」  部屋の真ん中で大の字寝転ぶ。一人暮らしってどんな感じなのだろう。想像できない。まあ何とかなるだろう。 そんなことを考えいると呼び鈴が鳴った。自分に会いに来る人などいないし、親は荷物運びを手伝い先ほど帰っていた。 ドアを開けてみると黒い眼鏡をかけた長髪の女の子が立っていた。 「高杉蒼生さんの家で間違いありませんか?」 「あ、はい。」 よくよく見ると近所の高校の制服を着ている。 「隣の部屋の方ですか?」 彼女は少し微笑んだ。 「いいえ、違います。一つ提案をするために来ました。私が三つ何でも『願い事』を叶えるので、」  そこで一度言葉をきり、少し大きくはっきりとした声で言った。 「命をください。」
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加