私の命を。

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「何を言ってるんだ?」 「言葉通りですよ。蒼生さん。」 「願いを叶えることができるかどうか置いといて、命をくれとはどういうことだ?」 「私は魔女なんですが、人間の魂が足りないんです。魔女の世界で蒼生さんに提案したとおりの政策がとられました。」 信じ難い話だ。 「その話が本当だとして僕はどのように『命をとられる』んだ?」 少し苦しそうな気まずそうな顔して答える。 「蒼生さんの体から魂を取り出します。それを担当の魔女に引き渡します。信じられないのなら一つ願いを叶えてみましょう。」  僕は少し考えてから言った。 「金が欲しい。残りの余生で使いきれないくらいの。」  本当は金に困って居なかったのだか、出来ないのを証明して帰らせようと思ったのだ。 「そんなものでいいんですか?まあいいです。」 小さな白い光が視界を奪った。つい反射的に目を押さえてしまう。光が徐々に消えていった。 目を開けると、黒色のスーツケースいっぱいに札束が入っていた。  無邪気に彼女は笑った。 「信じてくれました?残りの『願い事』は二つですよ。慎重に使ってくださいね。私はこれで失礼します。」
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