1人が本棚に入れています
本棚に追加
僕はその夜一睡も出来なかった。あの名前も知らない女の子は何者なのか?あの提案は何なのか?でも目の前にたくさんの金を出したのは紛れも無い事実だ。
結局僕は彼女の話を信じることにした。信じるというよりは、信じた方が精神的に楽だったからだ。
そこからは日が昇るまで残り二つの願い事について考えた。
一番に思いついたのは『自分の側に居てくれる人』だった。馬鹿けだ話だとは思うが、僕は誰かとずっと一緒にいて欲しかったのだ。
昔からそうだった。僕は常に一人だった。何かをするとき、常に僕の前には敵しかいなかった。ただ相手は僕の存在に気付いてすらいないようだった。腹が立ち、わざと聞こえるように挑発をしたりもしてみた。しかし、返ってくるのは相手の泣き声と、それを守る人たちの罵声だった。だから、 死ぬ前くらい他人の温もりを感じてみたかったのだ。
もう一つは思いつかなかった。そのうち見つかるだろう。
僕は日が昇ってくる窓の外を見ながら小さなため息を吐いた。
もう寝ようと小声で話すと、徐々に意識はどこか埋もれてしまっていった。
最初のコメントを投稿しよう!