私の命を。

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 僕はその夜一睡も出来なかった。あの名前も知らない女の子は何者なのか?あの提案は何なのか?でも目の前にたくさんの金を出したのは紛れも無い事実だ。 結局僕は彼女の話を信じることにした。信じるというよりは、信じた方が精神的に楽だったからだ。 そこからは日が昇るまで残り二つの願い事について考えた。 一番に思いついたのは『自分の側に居てくれる人』だった。馬鹿けだ話だとは思うが、僕は誰かとずっと一緒にいて欲しかったのだ。 昔からそうだった。僕は常に一人だった。何かをするとき、常に僕の前には敵しかいなかった。ただ相手は僕の存在に気付いてすらいないようだった。腹が立ち、わざと聞こえるように挑発をしたりもしてみた。しかし、返ってくるのは相手の泣き声と、それを守る人たちの罵声だった。だから、 死ぬ前くらい他人の温もりを感じてみたかったのだ。 もう一つは思いつかなかった。そのうち見つかるだろう。 僕は日が昇ってくる窓の外を見ながら小さなため息を吐いた。 もう寝ようと小声で話すと、徐々に意識はどこか埋もれてしまっていった。
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