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二つ目の願い
彼女は朝早く来た。
「願い事は決まりましたか?」
「ああ。一つだけだけど決まったよ。」
「失礼ながら聞かせてもらってもよろしいですか?」
「もちろん。」
僕は馬鹿らしいのを承知の上で言ってみる。
「僕の二つ目の願いは『自分の側に居てくれる人』だ。」
彼女は少し難しい顔で言った。
「魔法は万能じゃないんですよ。生き物を生み出したり、生き返らせたりできないんですよ。」
「まあ普通に考えて無理だよな。」
僕の発言に失望の色を敏感に察知した彼女は唸り声をあげて考え始めた。彼女は何かを思いついたかのように手を叩いたが、流石にこれはと渋い顔をしている。
「何か思いついたのか?」
「ええ。少し『願い事』から外れますけど。」
「本当に?」
僕から目をそらしてから答えた。「私がここにあなたと一緒に住むっていうのはどうでしょうか?」
「ここに住むの?」
「蒼生さんが嫌でなければ。」
「じゃあ決定だな。そういえば名前を聞いてなかったな。」
「私の名前は成瀬麻衣です。」
彼女は僕の目を真っ直ぐに見つめていた。僕が目線を合わせようとすると、顔を赤らめてどこか違う方向を向いていた。
彼女の目はとても綺麗だ。きらきら光って、僕の心を蝕む。魔女だからとか女の子だからとかそういうありきたりなものじゃないと思う。彼女だからそう思ったのだろう。僕はそう確信している。
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