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七.
「ボク、オバケ、キョウミアル!」
白羊がお化け屋敷を提案し、何か意見はとクラスの委員長が求めたところムタがまっさきにそう発言した。
お得意の人畜無害そうな顔と目と口調で。
「ムタくんもそう言ってるし、お化け屋敷にしよっか」
「ザ・文化祭ってかんじでいいよなー」
反対する者もおらず、悌太や陽魚貴が援護するまでもなく、決まってしまった。
「じゃあー、係を決めます。道具係したい人ー」
「ハイ!!」
「え、ムタくん?」
「ボク、ヒナキ、ヤル!」
「え!?」
勝手に巻き込まれたといわんばかりに、陽魚貴は戸惑う。だが委員長の女の子は笑った。
「黒沢くんとやるんなら大丈夫そうだね。じゃあ二人にしてもらうとしてー……」
もうこうなったものはそれでいいか、と思いつつ、隣のムタに小声で話しかける。
「おい、どういうことだよ、ムタ」
「ナンノコト?」
―コイツ、しらばっくれやがって……。
素を知る前ならまぁいいか、で終わるところだが、そうではない。陽魚貴は真意を確かめようと決めた。
◇
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