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どうしよう。どうしよう。どうしよう。どうしよう。
ヤバい。ヤバい。ヤバい。ヤバい。ヤバい。ヤバい。ヤバい。ヤバい。ヤバい。
僕は混乱の中にいた。本は磯田さんになんとかしてもらえばいい。先生に説教されるのも大したことじゃない。ただ、保護者を呼ばれるのは不味い。僕は良いことをしない分、悪いこともしてこなかった。だから、両親に迷惑をかけたことはないつもりだ。それをこんなことで崩したくはない。しかも、優等生の磯田さんもいるとなると、両親からなんて言われることやら。想像しただけでも恐ろしい。
とにかく、僕も本の捜索に協力せざるを得なくなった。
僕と磯田さんは一度、教室に戻ることにした。例のベンチは屋外だったので、長居するには不適切だった。教室に戻ると図書室帰りと同様、クラスメイトは全員いなくなっていた。教室に入るなり、僕は自分の席に座った。磯田さんはそれに合わせて僕の一つ前の席の椅子だけを取り、僕と向かい合わせになるようにして腰かけた。
「とりあえず、状況を整理しようか。二人で図書室から教室に戻った時には『ロミオとジュリエット』はあったよね。」
「そうね。教室に着いてから進藤くんが持っていた『ロミオとジュリエット』を私が受け取ったわ。その後、私は教室を出て職員室を往復して帰ってきたわ。戻ったら進藤くんはいなくなっていて机の上に置いたはずの『ロミオとジュリエット』もなくなっていたわ。どこかへ行ってしまったとしたらその間ね。」
「僕が教室を出たのは磯田さんが出てすぐ。僕が教室を出るまでは誰も教室には入ってこなかった。だから、無くなったのは僕が教室を出てから磯田さんが教室に戻ってくるまで。」
僕ら二人からでる情報はこんなものだ。
これで犯人捜しなんて馬鹿げてる。容疑者はその時学校にいた人全員。犯行は磯田さんの机にあったであろう本を盗む、そんなこと誰にだって出来る。唯一分かったのは犯行時刻ただそれだけだった。
「磯田さんの机の中とかカバンの中には無かったの?」
「全部探したわ。その日は無いことに驚いて慌てたもの。探してなかったから、進藤くんが持って帰ったのだと結論付けたの。」
「でも、盗られたとは思えないんだよ。誰が『ロミオとジュリエット』を盗む?しかも、図書室で借りられるものなのに。」
犯行時刻しか分からない僕たちは手掛かりとして犯行動機を考えるしかない。もの欲しさにやるには動機が薄い。一日たって本が返ってくる様子が無いことからその場でちょっと借りたかったってこともなさそうだ。長期で借りたかったなら、それこそ図書室で借りるのが一番いい。『ロミオとジュリエット』ならまだ何冊か図書室にあったはずだ。そうなると、怨恨の線で考えるのが妥当かな。
「磯田さんって誰かに恨まれるようなことしたことある?」
「え、何それ?そんなことしたこのないわよ。」
「まあ、そうだよねー。」
知らないうちに恨まれてるとか…、優等生磯田さんのことだからそれもないか。
「う~ん。そもそも僕たちは探偵でもないんだし、みんなに事情を話して返してもらえばいいんじゃない?」
「駄目よ。そんなことしたら、結局学校に校則違反のことを知られてしまうわ。」
やっぱり犯人を見つけないといけないのか。面倒くさっ。
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