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本当に不思議な空間だった。食事をしながらそう思う。
ここにいる二人は学校の先生で、さらにもう一人はカフェのオーナーシェフ。そんな中に一人いる高校生の理香。
夕べ、目の前にいる大人たちを見ていろいろと学んだ。
適齢期の大人が恋人同士となったらその愛は結婚へというレールが敷かれていると思っていた。
だから理香は早く大人になり、いつも隣にいてくれて笑顔を向けられるような恋人が欲しかった。けど、恋愛は人と人との交流でもある。そこには喜びもあるが、好きだからこそ、ささやかな喧嘩や嫉妬もあるのだ。さらに人の心は変わるということも知る。お互いの心を保つには気配りや話し合いも必要なのだ。
そういうことは一つ一つ石を積み上げていくように経験するしかない。それ故、恋愛に未熟な理香たち高校生が夜も眠れないほど思い悩むことはあたりまえなのだ。
話せることならば一人で悩まずに誰かに相談しようって思った。疑問があったら正直に相手にぶつけることも必要だ。もちろん例外もあるが、今回の理香のように自分だけで勝手に妄想して突っ走るよりはずっとマシなはず。
「メシ食ったら各部屋をさっとでいいから掃除してもらいたい。そいで終わったら教えてくれ。水道管の水抜きをやるから」
「わかった。俺は二階の和室をやる」とミーハーが答える。
もう以前に何度かやったことがあるような口ぶりだ。
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