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第一回目のデート諏訪湖へ・理香
三原からは、三都ホテルの玄関前で待つようにとのメッセージだった。
理香は土曜日の朝、寮内での朝食を終えて着替えた。
ぱっと目をひくオレンジ色のタンクトップはお気に入りだ。その上に白いジャケットを羽織って、スキニーパンツをはく。これならちょっとしたレストランでも対応できる服装だと思う。
もうすぐ三十歳になる大人とのデートにどんなものを着ればいいのか皆目見当もつかなかった。母からは大人のお相手だから恥をかかせない格好をしろと注意されていた。
四月の初旬だが、もうすでに桜は終わっている。暖かな天気のいい日が多かった。だから、つばの広めの帽子も持って出た。
部屋を出るとき、めざといルームメイトの由紀が評価してくれた。
「ふ~ん、やればそれなりにガキを卒業できるんじゃない」
それは一応、褒め言葉と受け止めた。ニンマリしながら、行ってきますと出ていった。
さすがに化粧を寮でするわけにいかないから、口紅二種類をポシェットに放り込んだ。どこか途中ですればいい。
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