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一次会でそれなりに飲んでいた純一だが、雅弘に一言もの申そうと景気づけにお酒をあおったため、次第に酔いが回ってくる。
「おい、雅弘。お前なんで俺と一緒の会社に就職したんだよ。」
「就職で最初からこっちに戻るつもりだったんだけど、同級生の柴田から、就職活動の頃、お前の噂聞いたんだよ。純一の第一志望がこの会社だって。僕の志望していた会社の一つだったから、純一と縁があるなあって思って」
「大体、お前がいると、いつだってお前と比較されて、俺の存在価値が低くなるんだよ。お前が転校してきた頃、慣れなくて大変だろうからって声かけたりしてただろ。それなのに、お前のせいで学級委員長もお前の二番手になるし、中学に入ったら成績も俺より上になるし、身長だって俺より高いし、一緒にいたって注目されるのお前ばっかり。」
「ふうん。純一って僕のことそんな風に思っていたんだ……」
「だいたい、中学生の頃から好きだった沙織ちゃんに、勇気を出して告白したら、お前が好きだからってあっさりフラれたんだ。本当に、おまえってヤツは俺の邪魔ばかりしてるのら……だのにろうして……」
お酒のせいで次第に呂律が回らなくなってくる。
「もう……これ以上…近づくな。俺の半径1メートル以内に近づくな……」
言うだけ言って安心したのか、酔っ払って眠り込んでしまった。
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