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真実
支社の常務室に呼ばれた。
中に入ると、澤野常務と京香が座っている。
俺が入室するなり、常務が手招きする。
「やぁ、忙しいところすまないね。
立花くん、君の活躍ぶりは京香からきいているよ。それと、どうだろう?
ここにいる娘の京香と交際していると聞いたんだが、結婚の意思はあるのかな?
いや、まだ早いか?」
と、でっぷりとした腹を揺らしながら笑っている父親。
「パパったら、まだ気が早いわよ。おつき合いしたいって言っただけなのに。」
鼻につくと言うのは、このことか。
「いえ、常務。
私には結婚を前提として、交際している女性がいます。彼女以外とは考えられませんので。
失礼します。」
それを聞き、わざとらしく泣き出す京香。
「き、君!京香から、アメリカで!そういう関係になったと聞いたぞ。逃げるつもりなのか?」
「何のことでしょうか?
一切、そう言った事実はありませんが。」
「シラを切る気か!」
赤い顔をして、怒鳴り散らす常務、
娘の嘘すら見抜けない、バカな親だ。
「伊崎くん、伊崎くんを呼んでくれ!」
伊崎部長もグルか?
京香の嘘泣きにウンザリした。
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