笑顔が見たい

4/4
前へ
/145ページ
次へ
「みのり! 何してる?」 そう言って近づくと、 「あっれ〜?瑛太?瑛太がいっぱい!? ヒック……会いたいと思ってたかられすかね〜 こんなに〜、いっぱい瑛太が〜いま〜っす!」 「お前、しっかりしろ?」 誰だぁ?この男は! みのりを介抱する男から、みのりをひったくるように抱き寄せて、俺は言った。 「誰が、こんなに飲ませた?ああ? 勝手に触るんじゃねー、こいつは俺のだからな!」 男が焦った様子で、背後を見る。 「あらー、瑛ちゃんじゃない!いつ来たのー?」 そう言って、冴子さんが駆け寄って来た。 「冴子さん!」 「この子、ウジウジしてたから。 今日は、おもいっきり飲ませてやったのよ! この人たちは、こっちに来てからの私の友達でね、病院で知り合った人もいるのよ。 それより瑛ちゃん、いつ来たの?」 「つい、さっき。マンションに行ってから、電話したけど出なかったから。 駅前にホテルをとって出かけたら、今、ばったりここで会えました。」 「そうなの?ちょうど良かった!この酔っ払いをお願いするわ〜。 ホテル近いなら、いいじゃない、 大丈夫、言ってもそんなに呑んでないから、そのうち覚めるわよ。 恋人同士なんだし、問題ないわよね?」 そう言って冴子さんは手を振りながら、みんなと帰って行った。 去り際、小さな声で 「親公認なんだから、今夜帰らなくて大丈夫。 お父さんも病院だし、よろしく。」 と囁いた。
/145ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5478人が本棚に入れています
本棚に追加