燦々と

1/3
前へ
/145ページ
次へ

燦々と

「みのり?大丈夫か?」 そう声を掛けながら、みのりを背中に担ぐと、 あまりに軽いのに驚いた。 痩せたか? まさか、俺の所為とか…。 背中のみのりは、すやすやと寝息をたてている。  ホテルに連れて帰って、ベッドに寝かせ、少しでもラクにしてやろうと、胸もとのボタンを少し外し、ウエストも少し緩めてやる。 久しぶりに見た、みのりの顔。 何、無防備に寝てるんだよ、俺じゃなかったら、どうするんだ? くそっ……やっぱ、可愛いな。 みんなが、お前を好きになるんじゃないかって、気が気じゃないんだけど、俺は。 不安にさせてゴメンな。 「う〜、み、水〜」 みのりが苦しそうに、呟いていた。 「水か、今 持ってくる。」 水を持って来たけど…、 「みのり、みのり、水だ!飲むんだ、喉が渇いてんだろ? ほらっ、みのり?」 うっすらと、目を開いたみのり。 「え、瑛太? なんで?」 声が少し、かすれている。 「ん? 心配するな、ほら、飲みな。」 まだ焦点の合わない目だったが、よほど喉が渇いていたのだろう。 みのりは、渡された水をゴクゴクと音を立てて飲んだ。 そして、しばらくぼんやりした後、急に目が覚めたようにハッとして言った。 「瑛太、どうして?どうして居るの?」 「会いに来た。 俺がみのりに会いたいと思ったから、会いに来た。」 みのりが俺を見て、ようやくニッコリと笑ってくれた。 やっとだ。 キラッキラの目をして、俺に笑ったんだ。
/145ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5478人が本棚に入れています
本棚に追加