勇気をください

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 ほどなく、車は自宅へ到着した。 「ありがとう」 「おう 、明日も今日と同じ時間な。」 「うん、分かった!本当にありがとう。」 車を降りようとドアに手をかけたところで、 「なぁ、お前のアパートどの辺?」と。 「隣町だよ、車だったら20分ぐらいかな?」 「この家には、帰ってこないのか?」 「ちょこちょこ帰って来るよ?」 「じゃなくてだな! ずっと、一人暮らしするのかって意味で。」 「そりゃ結婚しなきゃ、ひとりだよ。」 瑛太が何やらブツブツ呟いている。 ダメだ?とかなんとか? 「何でアパート借りてんだよ、家から通えばいいだろう? 冴子さんだって一人だし、一緒に住んだら? 嫁に行くまでだけでもさ。」 うーむ、考えたことなかったな。 一人暮らしも慣れて当たり前に思ってたけど、実家に帰るってこと頭に無かったな。 もし実家に帰るならエアコン要らないなー なんて考えてたりしていた。 瑛太、なんでこんな事を急に言うのかな? 「瑛太は一人暮らししないの?」 「アメリカで一人暮らしだったよ。 家族がいる方が良いな、俺は。 この古い家も好きだしなー、将来は建て替えないといけないだろうけど。 今どき無いぜ、こんな家。」 「そーだね、 私たちの思い出いっぱいの家だね。」 瑛太が、うんと頷いた。  瑛太と話していると、実家に帰るのもいいかもしれないなと一瞬だけ思ったけど、この時はまだ深く考えるまでは至らなかった。
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