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まだ退社時間まで少しある。
母に電話をしようとロッカールームへ急ぐ、その間もずっと自分の心臓がうるさい。
「お、お母さん!お父さんは?」
「みのり、よく聞いて!
お父さんの会社の人から連絡があったの、
詳しいことは検査結果が出ないと分からない。
だけど会社の人の話しでは、急に倒れて意識が無かったって。
とにかく、一緒に行きましょう。
お母さん今から家に帰って準備するから、みのりも直ぐに帰って来なさい。」
「うん、帰る。
お母さん、お父さん大丈夫だよね?」
「大丈夫に決まってるわよ!
お父さん、孫の顔見なきゃ死ねないって、言ってたんだから。」
なかなか涙が止まらない。
それでも課にもどり、石田課長にとりあえず明日は欠勤しますと伝えた。
「大丈夫か?平岡さん!
俺が家まで送るよ、今日は車で来てるから」
と、課長が言ってくれている。
とても電車で帰るなんて言えなかった。
だって、頭の中はパニックで、
足はガタガタ震えてる。
「ありがとうございます、お願いします。」
頭を下げた。
「大丈夫だ! 行こう。」
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