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課長は私に正面玄関で待つように言って、
駐車場に向かった。
目の前に黒いセダンが滑らかに停車し、
課長に助手席に乗るよう促された。
顔が強張ったままの私に
「大丈夫、大丈夫だから。」と課長が言う。
私は課長に笑ってみせようとしたが、
上手く笑えなかった。
「明日以降も休んでもらって構わない。
何かあったら連絡して、何時でもいいから。
とにかく悪い方に考えるな、わかったか?
飲んで! 少しは落ち着くかもしれない。」
そう言って、
ミルクティーを上着のポケットから出し、
渡してくれた。
温かい心づかいに感謝した。
そして、そっとひと口飲んでみた。
甘い紅茶が高ぶった気持ちを落ち着かせてくれるようだった。
部下思いの課長に感謝した。
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