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いつも以上に早く家を出たので、やはり会社にはかなり早い時間に着いた。
まだ他に誰も出社していないのかなと、思いながらドアを開ければ、石田課長の姿があった。
先日のお礼を言い、父が幸いにして症状が軽かったことなどを報告すると、石田課長は自分のことのように喜んでくれた。
住所を実家に戻す手続きをすることを伝えると、一軒家にひとりで大丈夫なのかと心配された。
隣家が家族同然で幼馴染みもいることと、生まれてからずっと家族ぐるみのつき合いだと言うと、やっと安心してもらえた。
「ありがとうございます。
でも課長、心配しすぎですよ〜」
「心配だよ、そりゃ… 、
でも、幼馴染みが隣にいるなら安心だね。
いいね、何でも相談できる人が隣にいるなんてね。ずっと学校も一緒?」
「いえ、一緒だったのは中学までです。
高校は男子校だったので、大学も向こうは優秀なんで、国立の良いとこに行きましたから。」
「えっ、幼馴染みって男なの?」
「はい、そうですよ?」
「・・・。」
「・・・。」(何かマズイ?)
「はぁ〜っ!」
課長は大きな溜め息をついて、
「君には、いつも驚かされるよ。
もっと自覚した方ががいい、君が他人に与える影響をね、特に俺とかに。」
その直後にドアが開き、数人の社員が出社して来た。
課長は普通に挨拶をしながら、自席についた。
さっきのどういう?
影響って?
ま、まさか!そんなこと!
えーっ!
あの課長が?まさかねぇ。
私って自意識過剰?
無い無い……課長も人が悪いよね。
冗談キツイわ!あー、びっくりした。
動揺を隠しつつ朝のコーヒーをいれ、みんなに配った。
「良かったー! 今日も平岡さんのコーヒーが飲めて、嬉しい〜」
と数人の男性社員がふざけている。
みんなが父の容態を心配して、声をかけてくれている。
みなさん、本当に感謝です。
おかげで私、今日も頑張って仕事ができそうです。
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