動き始めた時間

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 ドアを開けて、今ではすっかり乗り馴れた車に乗り込んだ。 そして私が乗ると直ぐに、 「今のは?」と瑛太が聞いてきた。 「あー、さっきの?うちの課長!いろいろ心配してくださってるのよ。 ひとり暮らしの心配とかね、 さっきも買い物の荷物とか運んであげるって、 親切な人なんだよ。 若いのに課長だし、仕事もできて優しいし、 それにイケメンだってみんな言ってる。 とっても人気がある人なんだよー。」 「お前は? 好きなのか?」 「へっ?課長としてだよ!尊敬してる。」 と笑うと瑛太が、 「向こうは、みのりに気があるんだろ?」 なんて言うから、 「無いわよっ!課長だよ?」 「お前って…。」 と瑛太が絶句している。 「⁇?」 「好きでもない女の買い物なんか、誰がつき合うか!」 ええっ、そうなの? 私、頼まれたら、買い物ぐらいならつき合うけどなぁ…。
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