甘い時間

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 さてと、今日もお仕事頑張りまーす! 会社に入った途端に、美咲の生温かい視線を感じる。 来い!来い!と、手招きされて従順について行く私。 「どうしたの?何?」 「どうしたのじゃないわよ〜。 今日は一段とお肌の艶が、およろしいですわね、みのりさん?」 「そ、そう?」 笑うしかない。 「ヤッタな?」 はっ、鋭い! 「はい、ヤリマシタ。」 敏腕刑事に捕まった犯人のようだ。 何でわかるのー? 「みのりの顔見たら、バッレバレ! なんか、ピンクのオーラがほわほわ〜っと。」 妙な手振りで、私の体を撫でようとする。 なわけないでしょ! 「恋する女って、綺麗だよねぇ。」 「美咲だって、そうじゃないの。」 美咲には1歳下の健斗くんという、 男性なのにとっても可愛い、アイドルみたいな彼がいる。 「私は、違うわよ、あれは勘違い。 同情したんだよ、不器用な男だからね。 同棲までしたけど、この先は分からないわ。」 サラッと言うわりに、美咲は元気が無い。 何かあったのか? 「美咲?何か心配事があるんじゃないの? 私で良ければ、相談にのるよ。健斗くんと何かあった?」 「ありがとう。 今、幸せなみのりに言うのも何なんだけどね。 アイツ浮気してる、たぶん。」 「えーっ!そうなの?」 「えーっ!そうなんですか?」 至近距離から成美ちゃんが叫んだ。 「な、成美ちゃん…、」 い、いたの? 「すみません!お二人の姿が見えたので、驚かそうと思ってコッソリと近づいたんですが…。結果的に、驚いたのは私でした。ゴメンなさい。」 頭を下げる成美ちゃん。 「いいの、いいの、大したこと無い。大丈夫だから気にしないで!さっ、仕事行こうか。」 美咲のことが気にはなったけど、とりあえず仕事が先だね。 仕事が終わってから、3人でご飯でも食べに行って、今日はゆっくりと話しを聞こうと思う。 美咲があんな顔してるなんて、ただ事ではない。
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