お久しぶり

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風呂上がり冷蔵庫前、仁王立ちの私は缶ビールをプシューって開けて、ぐびぐびぐびっと! 「プハーッて! お風呂上がりのビールはウマイねー!」 あー、いろいろ考え過ぎて疲れた。 小さい頃に好きだった幼馴染みが帰って来たからって… 恋なんてそんな安易なもんじゃないよね。 動揺しただけだよ。 冷静に考えたら、錯覚だな。 危ない危ない、勘違いしちゃうところだったわ…とりあえず、寝よ。 ベッドに入ってすぐに。 カツン! カツン! ゴツッ! 小石か、何かが窓に当たる音? そーっと、カーテンを開けて覗いたら、 隣のベランダから瑛太が身を乗り出して手を振ってる。 静かに窓を開けた私は、 「あんた!何してんのよっ、小学生じゃないんだから!ガラス割れたらどうすんのー? まさか乙女の部屋に入り込む気じゃ?」 私はギロリと瑛太を睨む。 瑛太は、わざと大げさに笑いながら 「お前が乙女ってか? それにしても自意識過剰だな。 心配するな、そこまで不自由してないから。」 ムキーッ そこまでって、どういう意味よー! ふーん、私なんか対象外ってか? 落ち着け、私。 鼻から息をフーッと出して、出来るだけ落ち着いた声で、 「何か用?」と答える。 瑛太は笑いながら、 「鼻息荒いな…、 いやいや、みのり明日暇か? 予定無いならドライブに付き合えよ、暇だろ?」 「明日は、予定無いけど。」 実際は、10日後のエアコン取り付け以外は 全く予定ないんだが…。 「そうか、じゃ明日の朝9時出発な!」 そう言い残し、イケメン瑛太は私の返事も聞かずに去って行きました。 「行くって言ってないんだけど…」 ひとり呟き、私は再びフーッと大きく息を吐いた。 風呂上がりの濡髪の瑛太が、あまりにも色気があり過ぎて動揺したわ! 無駄に色気振りまきやがって…、あれは罪だ、逮捕されてしまえ〜!  それより、誘われてる? もしかして…そうなの? しかし、なぜ暇だと決めてかかるかな? そこでふと気づいたことが…、げっ、私すっぴんだ! 眉毛無いし、 年季の入った白Tシャツにグレーのスウェットパンツ着用中! 色気は皆無だった…。 瑛太に今まで色気なんて見せたことも無いけど。  明日、何着る? なんで誘われたんだろ? いろいろ考え過ぎて、なかなか寝つけず、 ひつじが一匹、ひつじが二匹、ひつじ三匹・・・。 深夜、ひつじを数え続ける残念な26歳女子だった。
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