疑惑

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 シャワーを終えて浴室を出ると、 電池容量が増えたスマホを握り、母に電話をした。 「お母さん、久しぶりだねー!どう?そっちは。うん、うん…… ……そっか、 今週末、そっちに行こうと思ってるの。 お父さんの顔も見たいし! うん、分かった。 じゃあまた、行く前に電話するわ。」 電話が終わった直後、インターホンが鳴った。 きっと、瑛太だ。 モニターを見なくても分かる。 再び、インターホンが鳴る。 急いで、玄関に向かってドアを開けた。 2週間ぶりの瑛太だ。 「お帰り、久しぶりだね。」 思った以上に冷静な声が出たことに、自分自身が驚いた。 「ただいま。」 と低い声で言う瑛太。 恋人との再会にしては、テンションが低いな。 私、振られちゃうのかな? 気を取り直して聞いてみた。 「き、今日、帰ったんだね。」 「あぁ、今日な」 嘘だ! 昨日帰ってたのに、なぜ?頭の中が真っ白になった。 「昨夜から、携帯に何度も電話した。 繋がらないから、家電話にもかけたんだけどな。 どこにいた?」 私が、疑われてるの? いや、私もか…、カマかけたし。
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