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「昨日は、なるちゃんちに泊まった。
スマホは充電器無かったし、夜に電池切れしたから。」
瑛太の顔を見れない。
「そうか…
俺、メッセージとか打つの苦手だから、普段はあんまりしないだろ?
昨日は、心配になってLINEしたんだ。
いつまで経っても既読にならねーし。
そーか、バッテリー切れか?」
うんと頷いて「ゴメン」と誤った。
「みのり?」
瑛太が私の顔を覗き込む。
「どうかしたか、何かあったのか?」
心配そうに言う瑛太だけど、嘘をつかれたことがショックで、まともに頭が働かない。
早くひとりになりたい。
ゆっくり考えたい。
瑛太が私を抱き寄せようとしたが、
無意識のうちに、その手を振り払ってしまった。
瑛太は、何とも言えない表情をして立ち尽くしている。
「ゴメンね、瑛太、長旅で疲れてるでしょ?
早く帰って休んだ方がいいよ。」
本当は昨日からいたよね、日本に。
どこにいたの?
「あぁ、そうだな…。」
小さなため息を吐き、瑛太はドアを開けようとした。
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