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澤野にできるだけ冷静に、時には微笑さえ浮かべながらもはっきりと、気持ちには答えられないと言った。
俺には大切な女がいることも話した。あの女が理解したかどうかなんか知らない。
しかし、これ以上は時間の無駄だ、俺には関係ねぇよ!後は自分で考えろ!じゃーな。
それから、俺はみのりの両親のところへ向かった。その日は現地で宿泊し、朝になるのを待ったんだ。
さすがに、俺も緊張してたな。
そして、みのりの両親に俺の覚悟を聞いてもらった。
あいつは、ひとり娘だ。
だからもし、みのりを嫁には出せないのなら、
俺が平岡に入ってもいいという覚悟はしているし、俺には弟がいるから大丈夫だと思っている。
しかし、みのりの両親は、拍子抜けするぐらい簡単に許してくれた。それから、婿養子なんて考えてないから気にするなとも言われ、驚くほど喜んでくれた。
ただ、俺はまだ、みのりにプロポーズしていない。
だから、あいつの両親に内緒にしてくれるように、お願いしておくのも忘れなかった。
さすがに、本人より先に親にプロポーズしたと知られたらマズイよな。
みのり、待ってろよ。
だが、一つ気がかりなことがある。昨夜から、みのりに連絡がつかない。
寝たのか?
あんな早い時間に?
家にも電話したのに出ねぇーし、何ごとも無ければ良いんだが。
まさか、誰か?
課長か?
いや、みのりに限ってそれは無いだろうけど。
早く、みのりに会いたい…。
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