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久々に会った両親は、相変わらず仲が良くて何よりだ。
父の健康状態はすこぶる良いらしく、血液検査や、いろんな検査の結果のプリントを私に見せて自慢している。
一時はどうなるのかと不安しかなかったのに、
今では、すっかり元気でびっくりだ。
退院まで、あと少し。
そんな父が今、ニヤけた顔で私を見ている。
「何?お父さん、ニヤニヤして気持ち悪いなぁ〜、もう。」
「何か、報告があるのか?」
「は? 何も無いけど!」
父は難しい顔をして、
「ったく、何してるんだろうな?」
と呟いている。
「お父さん、何?大丈夫? 疲れたの?」
そこで、母が
「暑さで、やられたのよ!」
と怖いことを言っている。
大丈夫なの?本当に。病院はちゃんとエアコン効いてるよね?
今日は、父も外泊許可をもらって、マンションに帰れることになっている。
入院以来、初めての外泊で両親のテンションは、かなり高い。
父のマンションに帰ると、父の心配をしながら瑛太と過ごした週末を思い出した。
あの頃は、瑛太がいちばん近く感じられた。
大切で大好きだけど、ただの幼馴染みだった頃の話だ。
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