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家族っていいな
「お父さん、晩ご飯は何食べたい?」
「うーん、いろいろあり過ぎて。
病院のご飯じゃなければ、何でもいい!」
「すっかり、参ってたもんねぇ。
だけど、病院の食事は薄味でヘルシーよ。」
お母さんが、笑う。
「じゃあ、今日は外泊のお祝いで、お寿司でも取ろうかしら?」
「いいねー、寿司!」
お父さんが、目を輝かせて言った。
晩ご飯はお寿司。
私は、お吸い物をつくることにした。
キッチンに立ってしばらくして、母が手伝いに来てくれた。
「三つ葉は無いから、ネギでいいね。」
と、トントンとネギを刻みながら、
「みのり、何かあったのよね?」
と母が言った。
ふふ、さすが私のお母さん、何も言わなくても分かっちゃうんだね。
「うん」
「つらい事?」
「うん、つらいね。」
「そっか…、瑛ちゃん?」
「うん、…」
喉の奥に、大きな塊でも出来たみたいで、
上手く言葉が出ない。
苦しい。
はぁーっ、泣かないって思ったのに、お母さんが言うからだよ…。
「 みのり、逃げちゃダメよ。
どんな結果になっても、いいの。後悔しない生き方をしなさい。
瑛ちゃんは、みのりのことを誰よりも大切にしてくれる人。
彼と結婚しないなら、たぶん誰とも出来ないわよ。
あんた達をいちばん近くで、ずっと長いこと見てる私が言うんだから、間違いないわ。 」
「お母さん…、」
「ぷっ! 情けない顔しないの!
せっかく、美人に産んであげたんだから〜」
お母さん、ありがとう。
だけどもう少し、時間をください。
冷静になって考えてみるからね…。
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