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おいしい!
久しぶりに3人で食べたご飯は格別だった。
なんだか、ご飯がおいしいなんて、いつぶりだろうな?
食後にお父さんは、恐ろしく多量の薬を飲んでいた。それを見て、元気そうに見えても病人なんだなと、再認識した。
お父さんが早く孫の顔を見たいって、言ってたのに。ゴメンねお父さん、不甲斐ない娘で。
その後、テレビを観ながら、家族水入らずで他愛もない話をした。
母の学生時代の驚愕の事実。母の学生時代は、今じゃ考えられないぐらい太っていたらしい。
父は、真面目なイケメンで人気があった。
そんな父は母にとても優しくて、周囲からつり合ってない二人だと、バカにされた事があったみたい。
母は父の為に、一念発起してダイエットに挑戦して、恋の力は凄まじく、母は見る見るうちに痩せていったそうだ。
ところが、痩せて美しくなっていく母に対して父は、体に悪いじゃないか!
こんなに痩せちゃって、どうしたんだよ!と、
食べ物をせっせと持参して、食べさせようとしたらしい。
せっかく、あなたが恥ずかしくないように、痩せたのにって、泣く母に。
「俺がそんな事、いつ頼んだんだよ?
俺は君という、ひとりの人間が好きなんだ。
君といると安らぐし、勇気ももらえる。
そして、一緒にいると何より、楽しいんだ。
体を壊したら困るだろ?
それに、こんなに綺麗になったら、他の男に取られるんじゃないかって、心配しか無いじゃないか。」
そう言ったそうだ。
真っ赤な顔で照れる父が、かわいいな。
二人は本当に愛し合ってるんだね、羨ましい。
しかしながら、両親の恋バナは小っ恥ずかしいもんだわ。
それから、父が言った。
「言葉にしなきゃ、伝わらないんだよ。
素直に気持ちを晒すことは、勇気が要るけど。一度言ったら、何度も一緒だ。
それから父さんは、お母さんに対して気持ちを隠した事は無いな。これが夫婦円満の秘訣かもしれないな。
みのり、自分に正直になりなさい。
恋なんて、わがままになったって良いんだよ。
周囲に惑わされちゃダメだ。
自分が幸せなら、相手も…
みのりが幸せなら、瑛太くんも幸せなんだよ。
お父さんは、そう思う。」
お父さんてば、ケタ違いにカッコいい。
もしかして、瑛太のこと認めてるの?
ありがとう。
結局、二人とも言葉にしなくても、私達を応援してくれていたんだね。
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