甘い時間

1/6
5484人が本棚に入れています
本棚に追加
/145ページ

甘い時間

 ピザもチキンも、ほぼ完食。 もう晩ご飯は食べられないぐらい、お腹はいっぱいになった。 「まだ時間早いし、なんかDVDでも観る? お父さんが結構いいの持ってるよ。 お母さんの好きな古い映画とかもあるんだよ、 『ローマの休日』とか、『ティファニーで朝食を』とかねー。 私はジブリとかが好きなんだけど…。 これは?お父さんが好きな『アポロ13』、古いけど知ってるかな?」 瑛太にDVDを見せようと振り向いた瞬間に、 「もう限界だな。」 瑛太が私を抱きしめてきた。 Oh! おあずけ解除? 瑛太にぎゅーって、しがみついた。 私は瑛太の肩先に額をくっつけて、さらに近づく。瑛太からボディシャンプーの爽やかな、良い香りがしている。 瑛太が私を、さらに強く抱きしめ直した。 やっと動き出したふたりの時間は、もう誰にも止められない… 瑛太は素早く私にキスをした。 そして、逞しい腕で抱き上げると、私を部屋まで軽々と運んだ。 そっと私をベッドに下ろしたときは、心臓が口から出るかと思うぐらい、私の胸は高鳴っていた。 そして、瑛太が私に覆い被さりキスを落とした。  ねぇ、どうしてなんだろう? まるで雲の上に乗っかっているみたい。 あなたのキスは、どうしてこんなに優しくて心地良いのだろう? やがてキスは深まり、次々に場所を変えて行く。首筋から喉元へ、彼の熱い唇が私を翻弄していく。 あなたの指先が私の全ての感覚を、次々に呼び覚まし、そして私を暴いて行くのだった。 熱い吐息を漏らしながら考えるのは、 ただ、あなたのことだけ…。 体中であなたを感じて、背中を弓なりに反らしながら、私は高い声をあげ続けた。 ふたりして激しい波に呑まれる寸前に、あなたの名前を呼んだ。 「瑛太、好き、瑛太が好き…。」 瑛太が、荒い息を吐きながら 「みのり、俺も好きだよ」 と言う声が聞こえた…。 微かに微笑んだその後、私は夢の中へ。 あなたの腕に包まれて、柔らかな夢を見るように…幸せな眠りについた。
/145ページ

最初のコメントを投稿しよう!