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瑛太の気持ち
マズイことになった。
やっと、想いが通じ合った最愛の恋人を残して、2週間の海外出張に行くことになった。
何で、このタイミングなんだ!
当初、伊崎部長と同じ課の西本と澤野京香の3人で行く予定だったはずだが、急遽、西本の代わりに同行することになった。
急な要請を受け、準備に追われる毎日だった。
その所為で、みのりとの時間が奪われた。
結局、出発前夜まで準備に時間を取られるありさまで、睡眠不足のまま日本を発った。
くそっ!
2週間の間に万が一、あの課長がみのりにちょっかいでも出してきたらと考えたら、ゾッとする。
早く仕事を終えて、帰らなければ。
しかし、この2週間は長い…。
それでも、来たからには必ず結果は残す。
アメリカ本社は俺のホームグラウンドも同然で、友人知人も多い中、打ち合わせはスムーズに進んだ。
それをだ!
あの澤野京香が、重役の娘だかなんだか知らないが、決定事項にイチイチ茶々を入れて来るんだ。
お前、分かってやってんのか?
せっかく俺が縮めた時間を無駄にしやがって。
その挙句、俺に色目を使ってんのか?
タイプ?
一番嫌いなタイプだよ、あんた。
伊崎部長を味方につけたのか、部長も澤野には甘い。これだから、日本支社はダメだって言われんだよ。
2週間以内に俺は帰るぞ!
早く帰って、俺にはやることがあるんだからな。
みのりの両親に会いに行く。
俺とみのりの今後について、話し合いたいことがある。
やっとのことで日本に帰って来た日は、速攻でみのりに会いに行きたいのを、ぐっと我慢した。
ところが、だ。
澤野に足止めされた。
雰囲気の良いイタリアンの店なんかに、連れて行かれて告白だ?
仕事上でしか、あんたとはつき合えないって、言ったよな?
本当は、仕事でも嫌なんだが…。
空気読めよ…、この役立たずが。
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