死の訪問者

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 電気は点けたまま、布団に横になった。  明朝は早い。明日は学校だし、なにしろ東京調布から千葉県までの距離。   新宿、東京、津田沼・・・主要ターミナルでの乗り換え。考えただけでうんざりする電車通学だ。二時間はたっぷりかかるだろう。  僕は目を閉じた。  深夜。  ガチャ・・・ガチャ・・・  玄関のドアノブをひねる音。  浅い眠りが一気に吹き飛んだ。  二重ロックの施錠はしたはず。  家じゅうの電気はこうこうと点いている。  三分くらい? いやもっと短いかい時間が経過した。  急に物音が止んだ。  ガチャリ。チェーンロックの外れる音だ。  誰かが入ってきた。フローリング床を引きずるような足音。  怖い。  僕の全身は岩のように固まってしまい、舌まで硬くなって、息が苦しくなった。自分で息を殺しているのだ気がつくまで数秒かかった。  足音がじいちゃんの部屋の前で止まった。  じいちゃんの部屋の襖戸が滑る音。じいちゃんの部屋の隣は居間になっており、その居間の隣が僕が寝ている和室だ。  侵入者はじいちゃんの部屋に入ったようだ。  僕は仰向けの状態で動けなくなった。手足が頑丈なロープで縛られている感覚。眼球だけで自分の体を確認するがロープなどで拘束されていなかった。  侵入者がじいちゃんの部屋から出てきたようだ。  床を踏むわずかな軋みが大音量のように聞こえた。足音は居間の前を通り過ぎ、僕の部屋の前で止まった。  
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