18人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ
「おまたせしました、日替わり定食です」
店員が持ってきた定食を食べながら、倉科は原田の話題にもっていく。
「そういえば、結婚式の準備は進んでる?」
「なにかと慌ただしいですよ。彼女のお腹が目立たないうちに式を挙げたいんで。まあ、彼女の親に結婚の許可をもらう方がある意味大変でしたけど」
「そうなのか……」
それでも、以前は浮ついた感のあった原田が落ち着いてきたところをみると、いい相手と出会えたんだろうなと思った。
「それはそうと、この前、映画館で倉科さん見ましたよ。」
ーーやっぱりそこに話もってくる?いや、ちょっと待て。まさか映画、見終わった後じゃないだろうな……
「俺も同じ映画見てたんですよ。彼女が見たいって言うから。」
ーーマジか??
「彼女が最初『あれ、あの人、営業一課の倉科さんじゃない?』って気づいて。いやぁ、倉科さんのあんな顔初めて見ましたね」
原田の言葉に倉科は顔をしかめた。
「あんな顔ってどんな顔してたって言うんだ」
「いやだなぁ、倉科さん、眉間にシワ寄ってますよ。倉科さんって仕事のとき、厳しいことも多いけど、佐倉を見るとき、優しい顔しているんですよ。佐倉のことかわいくて仕方ないって感じで」
最初のコメントを投稿しよう!